物流倉庫移転マニュアル②|賃貸費用と倉庫選定ポイント

物流倉庫の移転を考えはじめた方向けに、賃貸倉庫(貸し倉庫)への移転計画を立てるための準備やポイントなど、4回ほどに分けてお伝えします。今回は候補物件を探す際に重要となる費用や倉庫を選ぶ際のチェックポイントなどをご紹介します。

倉庫賃料とは?

 倉庫賃貸にかかる費用として、賃料や共益費、保証金(敷金)などがありますが、各費用の内訳や算出方法などをご紹介いたします。まず、賃料とは下記のように契約面積より算出されます。

賃料賃料単価(坪単価)×契約面積により算出

(契約面積とは、対象となる賃貸借室の面積)

倉庫賃料に含まれるもの         

賃料には実際の使用面積だけでなく、共用部(共用トイレや共用EVなど)が按分で含まれている場合もございますので、もし使用面積より契約面積が多い場合は、内訳を聞いてみることをおすすめします。

また、平屋倉庫(区画貸しを除く)や一棟貸し倉庫では、建物全体が賃料に含まれておりますが、複数のテナントが利用するマルチテナント型倉庫を借りる際は、使用面積内に機械室などが含まれていないか図面を確認し、万が一含まれていた場合はその面積分が、契約面積=賃料にも含まれていないか確認してください。もし、含まれていた場合は契約面積から除外していただくお願いをされてみてください。契約締結後に契約面積に含まれていたことが発覚し、トラブルとなった例もございますので、契約前に確認することが重要となります。

賃貸に掛かる費用一覧

倉庫を賃貸するときにかかる費用は賃料以外に保証金(敷金)、管理費などもございますが、その他に倉庫賃貸にかかる費用や移転にかかる費用など以下にをまとめてみました。

費用
内訳
ポイント!
賃料
賃料×契約面積
契約面積の内訳を確認
敷金・保証金
1ヶ月の賃料×月数
敷金も保証金も同義で、退去時に返還されるお金です。一般には賃料の3ヶ月~6か月のところが多い。
管理費
保守管理
消防点検費などの保守管理費用(貸主が負担される場合もある)
光熱費
・電気
・共用部の水道・ガス等
直接契約または管理会社より請求。(共用部の水道、ガス代は使用面積で按分)
礼金・仲介手数料
・礼金は1ヶ月~2か月が多い
・仲介手数料は賃料の1ヶ月分
礼金は倉庫によって様々となり、礼金なしの物件もある。
その他
・更新料
・敷金償却(保証金償却)
・造作費
・敷金償却は賃貸借契約時に取り決めした金額分の敷金が返還されない特約
・造作費用は、倉庫物件や内容によって変わるため、原状回復費用も合わせて確認。
移転関連費
・引越し代
・廃棄やリサイクル費用
・原状回復費
・マテハン機器の廃棄や備品などリサイクルはコストと工期を確認
・原状回復については、貸主指定業者が行うことが多いが、任意の場合は明渡し日までに間に合うように発注すること

倉庫物件の情報収集

物件の情報収集は、お探しのエリアにある物流不動産会社や倉庫検索サイトなどをご利用されると効率的に物件を探すことができます。弊社のような物流不動産の仲介会社では、物件検索から交渉、契約~契約後のフォローまでサポートいたします。

「まだ検討段階で条件が定まってない。」「倉庫退去時期が差し迫っている。」「賃貸交渉がまとまらない。」など、倉庫探しの際はぜひ弊社にご相談ください。ご相談は無料です。弊社がご紹介した物件で成約された場合は、手数料を頂戴します。

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貸し倉庫検索サイトのLOGIPICK」では、関東エリアを中心に、ASSORTが専門で取り扱っている他社未公開の倉庫物件なども掲載されております。まずは「希望エリアに倉庫があるか確認したい。」という方は、ぜひご利用ください。

候補物件のチェックポイント

倉庫の選定にあたっては、資料での検討後に実際に倉庫の内覧を行い、動線などをイメージしながら物件の確認をすることが大切です。

物件資料に表示されている基本情報は、建物の築年数、用途地域、高速道路ICや最寄り駅、バス停からの所要時間、敷地内駐車スペースの有無や設備の状況など。

その他の情報は大型物流倉庫であれば、周辺エリアの環境や人口数などを事前に調査されており、従業員の確保のしやすさや、バスの本数やダイヤなども、物件資料に含まれていることが多いですが、一般的な貸し倉庫では、内覧時にご確認されるか、管理会社や仲介会社にお尋ねいただければ、回答または調査いたします。

以下に、候補物件を探す時に重要となるチェックポイントをまとめました。

交通・周辺環境


高速道路IC・主要幹線道路・空港・港へのアクセス
█ 取引先や他の営業所への距離・配送時間
█ 最寄駅・バス停からの所要時間(本数・ダイヤ)

█ 周辺道路の規制・混雑・渋滞状況(大型車通行規制、スクールゾーン)

█ 用途地域やハザードマップ(浸水等)の確認
█ 周辺施設の確認(学校・公園・病院など)
█ 従業員(パート含む)の確保のし易さ

敷地・建物


倉庫業登録、一般貨物運送事業登録の可否

█ 築年数建築確認書類の有無(建物用途の確認)
█ 前面道路幅、進入路、交通規制の状況
█ 接車・トラックバース、敷地内駐車スペース
█ 事務所の有無

█ トイレの有無・数の確認
█ 耐震・免震、非常用発電機等のBCP 対策
█ アスベスト使用の有無
█ 庇の有無・形状・高さ

建物設備


█ 貨物用 EV、垂直搬送機の数、重量、サイズ、ドックレベラーなどの付帯設備
█ セキュリティの有無

█ 空調設備の有無、使用制限
█ 照明タイプ(LED 等)、照度(200 ~ 300Lux)

█ シャッターの種類・サイズ(高さ・間口)

█ 電気容量、動力の引き込み
█ 設備の所有者(貸主所有のものか残置物となるか)

まとめ

今回、候補物件を探すときの賃料と物件のチェックポイントについてご紹介しましたが、事前に確認することがリスクヘッジとなりますので、ぜひご参考にしていただければと思います。次回は賃貸借契約を結ぶ時の確認ポイントや流れをご紹介します。

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