物流移転マニュアル④|倉庫移転後の各種許可・登録と届出

物流倉庫の移転を考えはじめた方向けに、賃貸倉庫(貸し倉庫)への移転計画を立てるための準備やポイントなど、4回に分けてお伝えしております。今回は倉庫の移転先が決まった後に必要となる申請や届出などについて、ご紹介いたします。

倉庫の賃貸借締結後に行う申請や届出

移転先倉庫と賃貸借契約を締結した後、移転先で運送業や倉庫業を行う場合は、所定の許可や登録を受ける必要があります。また、事業所を移転する場合は、行政機関や地方自治体へ移転届を提出しなければなりません。

具体的な書類や届出方法は、行政機関や地方自治体によって異なります。

本記事はあくまでも参考となりますので、必ず該当する行政機関や地方自治体にご確認をお願いいたします。

運送業の営業所移転(営業所の増設/新設)

運送業の営業所移転や増設を行うには、移転先の倉庫所在地を管轄している運輸支局(国土交通省)へ、以下の書類の提出が必要となります。

一般貨物自動車運送事業の経営計画変更認可申請書
賃貸借契約書、道路幅員証明(国道の場合は不要)、都市計画法等に抵触しないことの宣誓書、平面図、建築確認通知書

賃貸借契約書の内容でチェックされるポイント
☑契約の期間(2年以上または自動更新)
☑使用目的(運送、配送に適した用途であるか)
☑契約物件の面積
☑敷地内通行承諾(契約書の特約などに記載されておりますが、もし契約書への記載がない場合は、別紙で通行承諾書を発行いたしますので、運送業の申請を行う前に貸主や管理会社、仲介会社にご依頼ください。)

※増設/新設の場合ですので、新規で許可を取得する場合の手続きについては、運輸局にご確認ください。

倉庫業の登録(営業倉庫)

他者から預かった物品を倉庫で保管し、対価を得る事業を行う場合には、倉庫業の登録が必要となります。

一方、自社の物品の保管や貸倉庫業、修理業などは該当しません。

倉庫業の登録を行うためには、建物の設備基準や都市計画法、建築基準法などの関連法令に適合していることが要件となります。そのため、移転先倉庫を管轄している運輸支局(国土交通省)へ賃貸借契約書や平面図、建築確認申請書・確認済証・完了検査済証、宣誓書などの各種書類を提出する必要があります。なお、提出する書類は、保管する物品や倉庫の種類により異なりますので、事前に運輸局にご相談ください。

また、現在営業倉庫として使用されている倉庫を引き継ぐ場合には、軽微変更届出書で手続きを済ませることができる制度もあります。こちらについても、管轄の運輸支局にご相談ください。

事業所の移転に伴う届出

倉庫、運送に関わらず事業所の移転の際に必要となる届出を一覧にまとめました。

届出先
届出書類
提出期日

消防署
※移転先の所在地管轄

防火対象物使用開始届出書、等

使用開始日の
7日前までに

法務局
※移転前の所在地管轄

本店または支店の移転登記申請書
 移転日の翌日から2週間以内(支店は3週間以内)

税務署
※移転前の所在地管轄

異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書、等
 使用開始後、遅滞なく

都道府県税事務所
※移転前の所在地管轄

事業開始等申告書、等

 都道府県によって異なる

年金事務所
※移転先の所在地管轄

健康保険、厚生年金保険適用事務所名称・所在地変更届

 事実発生後、5日以内

労働基準監督署もしくは公共事業安定所(ハローワーク)
※移転先の所在地管轄

労働保険名称・所在地等変更届・雇用保険事業主事業所各種変更届、等

 変更のあった翌日から10日以内

その他
インターネットや電話回線、郵便局への届出、銀行への届出、リース備品、取引先への移転のお知らせなど

おかげさまで、「倉庫を貸したい」というご相談もいただいております。弊社は物流不動産仲介を専門としており、倉庫のリーシングマネジメントも行っております。倉庫の貸し方でお困りの場合は、ぜひ物流不動産仲介専門の弊社にご相談ください。ご相談は無料で承っております。弊社がご紹介した物件で成約された場合は、手数料を頂戴いたします。

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消防局

防火対象物使用開始届出書

飲食店や物品販売店(特定用途防火対象物)、倉庫や事務所(非特定用途防火対象物)を使用する場合は、使用を始める7日前までに管轄消防署に届出する必要があります。

届出する方 (届出者欄に記載される方)=実際に使用する方(入居する方)をいいます。

法務局

登記の移転申請

本店移転登記と支店移転登記で、申請期日が異なります。本店移転は移転後2週間以内、支店移転は移転後3週間以内となっております。

従前と異なる管轄区域に移転する場合、移転先の法務局においても手続きをする必要があります。

税務署

異動届出書

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」等

異動届出書は移転後遅滞なく。「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」については、移転後一か月以内に提出。

都道府県税事務所

事業開始等申告書

提出期限は都道府県によって異なりますので、移転先の都道府県事務所へご確認ください。

年金事務所

健康保険厚生年金保険適用事務所名称・所在地変更届

事実発生後5日以内に提出。

労働基準監督署もしくは公共事業安定所(ハローワーク)

労働保険名称所在地等変更届

・雇用保険事業主事業所各種変更届、等

変更日の翌日から10日以内に提出。

※労働保険事務組合に加入されている場合は、労働組合にも提出書類をご確認ください

その他の届出

インターネットや電話回線などは、1~2か月かかることもありますので早めに確認しましょう。

郵便局への届出、銀行への届出、リース備品の確認、取引先への移転のお知らせなども、慌てないように確認することをおすすめします。

まとめ

今回、賃貸借契約締結後に必要となる申請や手続きについてご紹介いたしましたが、届出先も多く申請書類も異なります。また、期日も決まっていることが多いため、賃貸借契約することが確定したときからスケジュールを組むことも重要になるかと思います。
これまで、4回に分けて倉庫移転計画を立てるためのポイントをご紹介いたしました。他の記事もぜひご覧いただけますと幸いです。少しでもお役に立てれば光栄でございます。

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